「歯ぐきから血が出る」「口臭が気になる」――そんな症状に心当たりがあるなら、もしかすると歯周病が進行しているかもしれない。歯周病は日本人の成人の多くがかかっているとされ、放置すると最終的には歯を失うことにもつながる深刻な病気だ。
いざ治療しようと思ったときに気になるのが、やっぱり治療費用のこと。「保険は使えるの?」「進行度によっていくらかかるの?」という不安を抱えている人は多いと思う。
この記事では、歯周病の治療にかかる費用を進行段階別にまとめたうえで、治療方法の種類や保険適用の範囲まで詳しく解説していく。歯周病の治療費用が気になっている方は、ぜひ最後まで読んでみてほしい。

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そもそも歯周病ってどんな病気?
歯周病とは、歯と歯ぐきの間にたまったプラーク(歯垢)の中にいる細菌が原因で起こる感染症のこと。初期段階では歯ぐきが赤く腫れたり出血したりする程度だが、進行すると歯を支えている骨(歯槽骨)が徐々に溶けてしまい、最終的には歯がグラグラになって抜け落ちてしまうこともある。
歯周病は大きく分けて以下の段階に分類される。
- 歯肉炎:歯ぐきだけに炎症がある初期段階。適切なケアで改善が見込める
- 軽度歯周炎:歯周ポケットが4mm程度。骨の吸収が始まっている
- 中等度歯周炎:歯周ポケットが5〜6mm。骨の吸収が進んでいる
- 重度歯周炎:歯周ポケットが7mm以上。歯がグラつき、抜歯が必要になることも
歯周病の治療方法の種類
歯周病の治療方法は、進行度に応じていくつかの段階がある。ここでは代表的な治療方法を紹介する。
スケーリング(歯石除去)
スケーラーという専用の器具を使って、歯の表面や歯ぐきとの境目についた歯石を取り除く処置。歯石は歯ブラシでは取れないため、歯科医院での専門的なクリーニングが必要になる。軽度の歯周病であれば、スケーリングだけで症状が改善するケースも多い。
SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
SRPとは、歯周ポケットの奥深くに入り込んだ歯石やプラークを除去し、さらに歯根の表面を滑らかに整える処置のこと。スケーリングよりも深い部分のケアが可能で、中等度の歯周病に対して行われることが多い。局所麻酔を使用して行うのが一般的だ。
フラップ手術(歯周外科治療)
歯周ポケットが深くなりすぎてSRPでは対応できない場合に行われる外科的な治療。歯ぐきを切開してめくり上げ、直接目で確認しながら歯根に付着した歯石や感染した組織を除去する。重度の歯周病に対する治療法として一般的だ。
歯周組織再生療法
歯周病によって失われた歯槽骨や歯周組織の再生を促す治療法。リグロス(bFGF製剤)などの薬剤を使用して、骨や組織の再生を目指す。フラップ手術と組み合わせて行われることが多く、中等度までの歯周病で効果が期待しやすいとされている。

歯周病治療の費用相場を進行段階別に解説
ここからは、歯周病の治療にかかる費用を進行段階ごとにまとめていく。なお、以下の費用は保険診療(3割負担)の場合の目安で、クリニックや地域によって差がある点は理解しておいてほしい。
軽度(歯肉炎〜軽度歯周炎)の治療費用
軽度の歯周病の場合、主な治療内容はスケーリング(歯石除去)とブラッシング指導が中心になる。
- 費用の目安:3,000円〜1万円程度(3割負担)
- 通院回数:2〜3回
- 治療期間:1〜2ヶ月程度
初診料や検査費用(レントゲン撮影・歯周ポケット測定など)を含めても、1万円以内で収まるケースがほとんど。歯石の量や付着している範囲によって費用が前後する。
中等度歯周炎の治療費用
中等度になると、スケーリングに加えてSRP(スケーリング・ルートプレーニング)が必要になることが多い。
- 費用の目安:1万円〜5万円程度(3割負担)
- 通院回数:6回以上
- 治療期間:3ヶ月〜1年程度
SRPは一度の処置で口全体を行うのではなく、数回に分けて行うのが一般的。通院回数が増える分、トータルの費用もかさみやすい。
重度歯周炎の治療費用
重度になると、フラップ手術や再生療法といった外科的処置が必要になる場合がある。
- 費用の目安:3万円〜10万円程度(3割負担)
- 通院回数:10回以上
- 治療期間:1年以上
抜歯が必要になった場合は、その後のインプラントやブリッジ、入れ歯の費用も別途かかってくる。インプラントは自費診療が基本で、1本あたり30万〜50万円程度が相場とされている。
歯周病治療は保険が使える?保険適用の範囲
歯周病治療は基本的に健康保険の適用対象になっている。初期段階の歯肉炎から重度歯周炎まで、標準的な検査・処置のほとんどに保険が使える。
具体的に保険適用となる治療は以下のとおり。
- 歯周病検査(歯周ポケット測定・レントゲンなど)
- スケーリング(歯石除去)
- SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
- フラップ手術(歯周外科治療)
- リグロスを使用した歯周組織再生療法(保険適用)

自費診療になるケースもある
一方で、以下のような治療は自費診療(保険適用外)になることが多い。
- レーザー治療:1回あたり数千円〜1万円程度(自費の場合)
- エムドゲイン(再生療法の一種):5万円〜15万円程度
- GTR法(組織再生誘導法):5万円〜20万円程度
- 審美的な歯ぐきの手術:費用はクリニックによって大きく異なる
自費の治療を選ぶかどうかは、歯科医師と相談しながら決めるのが望ましい。保険診療でカバーできる範囲は広いので、まずは保険内で治療を進めるのがコスト面ではおすすめだ。
歯周病治療の費用を抑えるためのポイント
歯周病の治療費用をできるだけ抑えるために、知っておきたいポイントをまとめた。
早期発見・早期治療が最大の節約
歯周病は進行するほど治療が複雑になり、費用も高くなる。歯肉炎の段階で治療すれば数千円で済むところが、重度歯周炎になると数万円〜十万円を超えることもある。定期的な歯科検診で早期発見を心がけることが、結果的に大きな節約につながる。
定期検診・メンテナンスを続ける
歯周病は治療が終わった後も再発しやすい病気として知られている。治療後は3〜6ヶ月に1回の定期メンテナンス(PMTC)を受けることで、再発を予防できる。メンテナンスの費用は保険適用で1回あたり3,000円〜4,000円程度が目安だ。
高額療養費制度を活用する
歯周病の治療で外科手術が必要になった場合など、1ヶ月の自己負担額が一定額を超えると高額療養費制度が利用できるケースがある。加入している健康保険組合や市区町村の窓口で確認してみるとよい。

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歯周病の治療期間はどのくらいかかる?
歯周病の治療期間は、進行度によって大きく異なる。
- 軽度:1〜2ヶ月程度(通院2〜3回)
- 中等度:3ヶ月〜1年程度(通院6回以上)
- 重度:1年以上(通院10回以上)
治療期間が長くなるほど、通院の負担も大きくなる。仕事や家事で忙しい方にとっては、通院回数の多さが悩みの種になることもあるだろう。だからこそ、症状が軽いうちに対処しておくことが大切だ。
自宅でできる歯周病予防のセルフケア
歯周病の予防には、毎日のセルフケアが欠かせない。ここでは、自宅で実践できる予防法を紹介する。
正しいブラッシング
歯と歯ぐきの境目に毛先を45度の角度であて、小刻みに動かすバス法がおすすめ。力を入れすぎると歯ぐきを傷つけてしまうので、やさしく丁寧に磨くことを意識しよう。
デンタルフロス・歯間ブラシの使用
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは6割程度しか除去できないとされている。デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、プラーク除去率を大幅にアップさせることができる。
マウスウォッシュの活用
殺菌成分が配合されたマウスウォッシュを使うことで、口腔内の細菌の増殖を抑える効果が期待できる。ブラッシングの仕上げとして取り入れるのがおすすめだ。
よくある質問(Q&A)
Q. 歯周病治療に医療費控除は使えますか?
歯周病の治療費は医療費控除の対象になる。1年間の医療費が10万円を超えた場合(所得が200万円未満の場合は所得の5%を超えた場合)、確定申告で申請することで税金の一部が還付される。領収書は大切に保管しておこう。
Q. 歯周病の治療は痛いですか?
スケーリングでは多少の痛みや不快感を覚えることもあるが、耐えられないほどの痛みになることは少ない。SRPや外科手術では麻酔を使用するため、処置中の痛みはほとんど感じないことが多い。
Q. 歯周病は自然に治ることはありますか?
残念ながら、歯周病は自然に治ることはない。放置すればするほど進行していくため、症状に気づいたら早めに歯科医院を受診することが大切だ。
Q. 歯周病治療の通院頻度はどのくらい?
治療中は1〜2週間に1回の通院が一般的。治療完了後のメンテナンスは3〜6ヶ月に1回程度が目安になる。

まとめ:歯周病治療の費用は早期対応で大きく変わる
歯周病の治療費用は、軽度なら3,000円〜1万円程度、中等度で1万円〜5万円程度、重度になると3万円〜10万円程度が目安になる。基本的に保険診療で対応できるため、3割負担で治療を受けられるのがありがたい。
ただし、進行すればするほど治療は複雑になり、費用も時間もかかってくる。定期的な歯科検診を受けて早期発見に努めること、そして毎日のセルフケアを怠らないことが、歯周病から歯を守るための基本だ。
歯ぐきの腫れや出血、口臭など気になる症状がある方は、早めに歯科医院を受診してみてほしい。
参考:日本歯科医師会「歯周病」
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周疾患の症状・原因・進行」
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